囲碁棋士・井山裕太四冠、ぐっすり眠ることができれば、次の日の朝は前向きに考えられる |
【2021年11月15日(月) フラグスポート(マニフレックス)】 第46期囲碁名人戦で、見事に防衛を果たした井山裕太名人。名人戦は、1局2日制の長丁場での対局になるため、精神と体のコンディションを整えることも大切になってくる。そのような過酷な戦いを制した井山名人が心がけている体調管理について話を聞いた。
対局日に合わせて精神と体調を最上の状態に持っていく ——ついに11月4日、5日に静岡・今井荘での第7局で井山名人が4勝目をあげ、防衛を成功させました。井山名人は、前回は挑戦する側、今回は防衛する側となりましたが、何か対戦する上で心境の変化はありましたか。
一般的には、タイトルを失うプレッシャーがないぶん、挑戦側の方が思い切って勝負に出られると言われています。ただ、自分ではどちら側で勝負することになっても、あまり気にしていません。タイトル戦になると、お互いの技術的な差は紙一重。その中で勝負を続けていくには精神面も勝敗に大きく関わってきますから、自分のやるべきことに集中して取り組むだけです。
——頭脳戦を勝ち続けるために、何かパフォーマンスを高める工夫はありますか。
30代に入ってから、精神面と体調面はより気にするようになりました。対局日に合わせて、精神面と体調面をより良い状態のピークに持っていけるように、日頃から心がけています。年齢を重ねたことで気にするようになったというよりは、今までの勝負の積み重ねの経験から得たことだと思いますが、特に形勢が難しい時でも、じっとチャンスを待てるかどうかは、精神面の強さが関係してきますね。その精神面も体調が良くないと崩れがちになりますから、やはり勝負に勝つためには、心技体を整えることが基本です。
対局後も続いてしまう緊張を解放するには、質の良い眠りが必要 ——名人戦は1局2日制という長丁場の対局ですが、体調管理で気を付けていることはありますか。
1日目が終了した後は、やはりいかに眠るか、体を休められるかが重要です。囲碁は頭脳戦と言われていますが、実は体力も相当に消耗してしまいます。そういう時に、眠りに入りやすい環境があったり、深く質の良い睡眠が取れたりできれば理想的ですね。
——眠りが浅いと、次の日の対局にも影響すると感じたことはありますか。
眠れなかった経験ももちろんありますが、必ずしも体調が良くないからといって、すぐにパフォーマンスに影響するわけではありません。ただ、眠りが浅いことが続くと、疲労が知らずに蓄積されて集中力が必要な時に影響しやすくなるように思います。だから毎日の睡眠の質はこだわりたいですね。
——井山名人はマニフレックスの寝具を使用していると聞いていますが、何か気に入っている点はありますか。
マットレスが体になじむというか、包み込まれているような感覚があって、とてもリラックスできるところです。ショールームに伺っていろいろなタイプを試したのですが、その中で自分に一番合ったものを見つけることができて、ありがたく思っています。
——今回の名人戦では、開催地となった3カ所の旅館でマニフレックスを導入していたようですが、寝心地はいかがでしたか。
よく眠れました。夜だけではなく、対局中の昼休みには自分の部屋でマニフレックスのマットレスの上で少し横になっていました。短い時間で、しかも眠っているわけではないのですが、それだけでも疲れが和らぎましたね。
——名人戦連覇を果たしました。その前は碁聖位を奪取。好調ですね。
好調や不調の根源は何なのかは、自分でも分かりません。分かれば楽ですけど(笑)。ただ、自分の打つ手に迷いが少ない時は、自分で調子が良いかなと思いますし、勝つことも多い気がします。逆に、負けないことを考えながら打つことも囲碁には大切です。それでも、負けることはもちろんあります。負けた後はいろいろ思い続けてしまうことがあるのですが、そういう時でも、その夜にすんなりと入眠できて、ぐっすりと眠ることができれば、次の日には気持ちが前向きになっているタイプ。だからこそ、この先も睡眠をうまく取ることは大切にしていきたいですね
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