囲碁界重鎮の大竹英雄名誉碁聖が引退「水戸黄門役を」全国行脚で碁界に貢献 |
【2021年12月16日(木) 日刊スポーツ】 囲碁界歴代5位のタイトル通算48期を獲得した大竹英雄名誉碁聖(79)が15日付で引退届を出し、東京・「日本棋院」で同日、記者会見を行った。意思を固めたのは1カ月ほど前。「頭の中に浮かぶ(囲碁の)図が貧相になってきた。今の状態じゃ、80になる前に失礼した方がいいかな」と、理由を説明した。1951年(昭26)、9歳で故木谷実九段の弟子となり70年間、駆け抜けた。厚みを生かした打ち方の別名は「大竹美学」。碁聖戦6連覇をはじめ、名人4期、十段5期獲得など、タイトル戦でも活躍した。同じ42年5月生まれの林海峰(りん・かいほう)名誉天元と「竹林(チクリン)時代」を築いた。その盟友には、「引退を届け出る前にひと言謝りたくて電話をしたが、あいにくつながらなかった。自分の手が切られるように痛い」と悔やんだ。また、木谷門下では塾頭格として、同門の後輩である故加藤正夫名誉王座、二十四世本因坊秀芳(石田芳夫九段=73)、武宮正樹九段(70)、小林光一名誉棋聖(69)、趙治勲名誉名人(65)、故小川誠子七段らを指導した。中にはタイトル戦で頂上対決をした弟弟子もいた。「みんな頑張ってと思いながらも、囲碁に対してだけはへこたれなかった。勝ち負けはあまりこだわらなかった」と振り返った。08年12月から12年6月までは日本棋院理事長も務めた。その立場から、「国際棋戦で頑張るトーナメント棋士だけではなく解説や聞き手、書き手、教えるのが上手な人など、ありとあらゆるトップ棋士が必要」と、囲碁の未来について分業化を提唱した。自らは引退後、「水戸黄門役をやってみたい」と話した。「助さん格さん、お銀の役(の棋士)を連れて、全国を行脚したい。地域の皆さまと交流をしながら、囲碁の楽しさを広めたい」と笑顔で語っていた。
◆大竹英雄(おおたけ・ひでお)1942年(昭17)5月12日生まれ、福岡県北九州市出身。故木谷実九段門下。9歳で弟子入りし、神奈川県平塚市の木谷邸で内弟子生活を送る。56年プロ(初段)に。69年の第8期十段戦を制したほか、名人4期、碁聖7期、十段5期など、タイトル獲得通算48期は歴代5位。08年12月から12年6月までは日本棋院理事長も務めた。通算1319勝846敗。通算勝利数は歴代4位。
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