「受章に恥じぬように」 囲碁棋士の石田芳夫さんに旭日小綬章 |
【2022年4月29日(金) 毎日新聞(武内亮)】 政府は2022年度春の叙勲受章者を29日付で発表し、囲碁棋士の石田芳夫九段(73)=二十四世本因坊秀芳=が旭日小綬章を受章した。本因坊5連覇など24のタイトルを獲得し、囲碁界で一時代を築いた功績が評価された。「受章できると思っていなかったので光栄。受章に恥じないように今後も頑張りたい」。9歳の時、故木谷実九段主宰の木谷道場に入門し、14歳でプロ入り。正確な計算と形勢判断から、「コンピューター」のニックネームで呼ばれ、多くの囲碁ファンに愛されてきた。「当時はコンピューターが出始めた時期でした。感情的にならず冷静に分析するタイプだったのでそう呼ばれたと思いますが、うまいネーミングだと感じましたね」。プロ入りから約60年。AI(人工知能)が席巻する囲碁界の現状について、「昔の碁にはそれぞれ物語があったが、今は10局中9局がAI布石になっていて、独創性とか独自性が少しないような気がします。いずれはAIを離れた碁になるでしょうが、今のままでは物足りないというか、絵的に面白くないかな」ともらす。19年に1100勝を達成。これまでに1144の白星を積み重ねてきた。昨年、同じ木谷門下の兄弟子だった大竹英雄名誉碁聖が引退したことに触れ、「自分の胸の中では1200勝、もしくは対局数が2000局に達したら考えたい」と自らの引き際について静かに語った。
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