1963年5月25日生れ

米国カリフォルニア州出身

14歳で来日。大枝雄介九段門下。1977年院生。1981年入段。1981年二段、1983年三段、1984年四段、1985年五段、1988年六段、1990年七段、1996年八段。2000年9月九段。2002年通算400勝達成。2009年4月23日通算500勝(331敗2持碁)達成(欧米出身棋士として初)。
夫人は牛嫻嫻(ニィゥ・シィェンシィェン)三段。

棋風：
揮毫：

Ｍ・レドモンド著作集

タイトル獲得数：0個(うち世界タイトル：0個)

対局日	棋戦名	年齢	コメント
1985年(第9期)	留園戦優勝	22歳	非公式戦

2001年1月1日以降国際棋戦成績＝2勝5敗(対韓国：0勝3敗、対中国：0勝2敗、対他：2勝0敗)

対局日	棋戦名	勝敗	対戦相手
2006.03.11	春蘭杯1回戦	●	高根台四段(韓国)
2003.12.29	春蘭杯1回戦	●	古力七段(中国)
2003.06.19	ＬＧ杯2回戦	●	元晟湊五段(韓国)
2003.06.17	ＬＧ杯2回戦	○	王銘宛九段(日本)
2002.05.18	春蘭杯1回戦	●	羅洗河八段(中国)
2001.06.14	ＬＧ杯2回戦	●	李昌鎬九段(韓国)
2001.06.12	ＬＧ杯1回戦	○	ディナースタインアマ７段(欧州)
2000.06.13	ＬＧ杯1回戦	●	徐奉洙九段(韓国)
2000.04.08	富士通杯1回戦	●	崔明勲七段(韓国)
1999.06.15	ＬＧ杯1回戦	●	白大鉉四段(韓国)
1998.12.26	春蘭杯1回戦	●	邵偉剛九段(中国)
1998.04.13	富士通杯2回戦	●	王立誠九段(日本)
1998.04.11	富士通杯1回戦	○	徐奉洙九段(韓国)
1998.03.29	東洋証券杯準決勝戦	●	兪斌九段(中国)
1998.01.23	東洋証券杯2回戦	○	金栄桓四段(韓国)
1996.04.24	応昌期杯1回戦	●	依田紀基八段(日本)
1994.04.04	富士通杯2回戦	●	小林光一九段(日本)
1994.04.02	富士通杯1回戦	○	Ｆ・アギラールアマ(南米)
1994.??.??	東洋証券杯準八強戦	●	曺薫鉉九段(韓国)
1993.11.18	東洋証券杯2回戦	○	徐奉洙九段(韓国)
1993.11.16	東洋証券杯1回戦	○	グローネン(欧州)
1993.04.03	富士通杯1回戦	●	趙治勲九段(日本)
1992.07.13	応昌期杯1回戦	●	梁宰豪八段(韓国)
1992.04.06	富士通杯2回戦	●	大竹英雄九段(日本)
1991.06.03	富士通杯八強戦	●	王立誠九段(日本)
1991.04.05	富士通杯2回戦	○	彭景華五段(台湾)
1990.12.01	東洋証券杯1回戦	●	大竹英雄九段(日本)
1988.08.21	応昌期杯1回戦	●	聶衛平九段(中国)

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【2010年10月3日　日経BPネット】
10歳で囲碁と出会い、たった一人で海を越えた。「悲壮感はなかったですね。順位が落ちてもあんまり驚かなかったし悩まなかった」2年目からは大枝雄介九段の門下生となり、内弟子生活を10年ほど経験する。2番弟子とは1週間違いで入門した3番弟子。しばらくは何かというと「マイケル、行ってこい！」と使い走りをさせられた。
大枝九段の教育方針は、土・日曜に院生の研修に行く以外は、1日のスケジュールを自分で決める。自主性が問われた。「最もすごいときは1日16時間、囲碁の勉強をした。結局、2週間ぐらい続けたんですけど、意味がないのでやめた（笑）。やはり碁は集中力の方が大事ですから。『1日3時間ぐらいやるのがいちばんよいかもしれない』と思ったりしつつも、結局8時間ぐらいやってました」
基本的に外出禁止。近くの公園に行くのも断って出る。家事手伝いも修行のうちだ。だが、「つらいと思ったことはない」と当たり前のように言う。やがて弟子が増え、多いときには弟子が16人の大所帯になった。毎日が修学旅行のように賑やか。ケンカもしたけれど楽しかった。ただし、弟子の多くは小学生や中学生。レドモンド九段のスタートはやはり遅い方だ。
「英語を使わない」と決心し、日本語を鍛えた。同門生や、言葉遣いに厳しい大枝九段のお母様にも鍛えられた。日本棋院にもう一人居たアメリカ人棋士とも、挨拶すら日本語だった。もちろん、会話は碁に関することばかり。そんな生活の中で、下地玄昭さん（現在六段）と出会った。同門で、共にプロ棋士を目指す仲間だ。碁のスタイルは正反対ながら、力量は近く、よきライバルとなった。中盤以降も攻め続ける彼に強い影響を受けた。また、定石（碁盤の隅辺りでの戦いにおける打ち方のパターン）を打つことを許さない厳しい師範代、現宮沢吾朗九段の指導を受け、自分の碁を求めて格闘した。子供のころは力任せに打っていた碁が、日本に来て守りに入っていた。しかし、下地六段と宮沢九段に出会って、改めて、攻めの碁、力碁に変わって行った。

【2000年11月2日　朝日新聞(荒谷一成)】
好きな日本語は「自然体。ありがとう。美しい……、女性。ふふっ」。棋士になって２０年目。この秋、欧米出身としては初めて九段になった。
プロ入りした時の初段から始まり、棋士は大手合の対局の勝ち星によって昇段し、九段は最高位である。段が上になるほど対局料も高い。所属する日本棋院で九段は71人もいるが、全棋士331人のうち欧米出身者は4人しかいない。だが、「ぼくの本当の目標は名人戦などのリーグに入ることです」。
5年前から呉清源九段の研究会に参加している。布石が下手で一発勝負にかけたりしがちだったが、「呉先生に知恵をもらうようになって、考え方に幅が出てきました」。米国ロサンゼルス市郊外の生まれ。スペースシャトルなど宇宙開発に携わったことのある物理学者の父親から、10歳のときに、囲碁を手ほどきされた。アマ初段程度の父親をあっという間に追い抜いた。
1977年に来日して大枝雄介九段に入門、18歳でプロ試験に合格した。師匠宅の内弟子生活は10年に及んだ。実家では、外出先を告げるとか、目上の人を敬うとか、厳しく育てられた。「内気なこともあって、内弟子時代に、強い人の教えを素直に聞けたので上達が早かったと思う」
来日してすぐ漫画で日本語をおぼえた。語り口はなめらかで明快。テレビの囲碁番組で解説者として登場する機会も多い。日本で修業していた中国人囲碁棋士、牛嫻嫻(ニュウ・シェンシェン)さん(35)と8年前に結婚した。2人の娘さんを交えて話すときは日本語だ。チェスやトランプのブリッジと比べて、「囲碁は目的が漠然としています。考え方がとても幅広く、東洋的という以上に、神様が考え出したゲームとしか思えないほど奥深い」という。「ぼくは無神論者だけどね」

【2000年11月　読売新聞｢顔｣(久能以平)】
14歳で単身来日して23年。欧米人の段位記録を次々に更新し、この秋、最高位の九段に昇段した。これまでの多くの欧米人が囲碁を学び来日したが、現在日本で活躍しているのは、棋士約450人中わずか3人だけ。文化の違いに戸惑い、帰国する少年が多い中で、初志を貫いた。｢日本文化にいちいち反発していたのでは、無駄な労力が費やされる。日本に住む以上、日本人として生活すればいいんです｣

10歳の時に物理学者だった父親から囲碁の手ほどきを受けた。序盤、中盤が徹底的に研究されているチェスに比べ、｢可能性が無限にあって、自由な発想や自己表現ができる｣囲碁にとりつかれた。3年ほどでアマ４段の実力に達し、｢このペースなら、プロになれる｣と来日を決意。18歳でプロ試験に合格し、研鑚を重ねてきた。

今春から半年間、ＮＨＫ囲碁番組で講師を務めた。｢懇切丁寧で、語彙(ごい)も豊富。歴代の講師の中で一番｣と担当責任者。テレビ囲碁番組制作者会賞の今年度受賞も決まっている。これまで北米代表として出場していた世界囲碁選手権で、今年は層の厚い国内予選を突破。名実ともに日本を代表する棋士になりつつある。｢九段は一つの目標でしたが、やっぱり棋聖、名人、本因坊の三大タイトルのリーグに入りたいですね｣。中国出身の牛嫻嫻(ニュウ・シェンシェン)さんとの間に二女。家族の共通語は日本語だ。(千葉県千葉市)

【2009年4月24日読売新聞】
米カリフォルニア出身で、日本棋院所属の囲碁棋士、マイケル・レドモンド九段(45)が4月23日、王座戦予選で小松英子三段(46)に黒番7目半勝ちし、通算500勝(331敗2持碁)を達成した。欧米出身ではほかに3人がプロ棋士になっているが、500勝到達は初めて。日本棋院では史上85人目。レドモンド九段は10歳のころ、囲碁ファンだった父親から手ほどきを受けた。14歳で来日、プロの登竜門である院生となり、1981年、入段を果たした。初勝利は1981年6月3日天元戦一次予選で吉田洋逸四段に白番4目半勝ち。新人王戦準優勝、第13回世界囲碁選手権・富士通杯で国内予選を勝ち抜いて日本代表となるなどの成績を挙げてきた。レドモンド九段は「次は1000勝をめざしたい」と話している。