- 日時: 2005/03/13 10:38
- 名前: 囲碁データベース <igoigo@jcom.home.ne.jp>
- 日本棋院の新昇段制度は、公式棋戦である12棋戦(棋聖戦、名人戦、本因坊戦、十段戦、天元戦、王座戦、碁聖戦、富士通杯戦、世界王座戦、新人王戦、竜星戦、阿含桐山杯)の成績を対象に昇段を決めるもので、「タイトル獲得等による昇段」「勝ち星による昇段」「賞金ランキングによる昇段」が三本柱となる。新昇段制度は2003年4月に開始された。
(1)タイトル獲得等による昇段
昇段に必要なタイトル獲得数 |
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九段 | 棋聖、名人、本因坊獲得、世界戦優勝1回 | 十段、天元、王座、碁聖獲得各2期 | 八段 | 十段、天元、王座、碁聖獲得 | 棋聖、名人、本因坊の挑戦者、世界戦準優勝 | 七段 | 十段、天元、王座、碁聖の挑戦者 | 棋聖、名人、本因坊戦のリーグ入り、阿含桐山杯、竜星戦優勝 | タイトル獲得は過去の成績も一度だけ昇段の対象となる。この経過規定により、2003年4月の新昇段制度開始時に、天元4期の柳時熏七段は九段に、棋聖獲得1期の山下敬吾七段は九段に昇段した。
(2)勝ち星による昇段
昇段に必要な勝ち星数 |
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八段→九段 | 200勝 | 七段→八段 | 150勝 | 六段→七段 | 120勝 | 五段→六段 | 90勝 | 四段→五段 | 70勝 | 三段→四段 | 50勝 | 二段→三段 | 40勝 | 初段→二段 | 30勝 |
(3)賞金ランキングによる昇段
各段の賞金ランキング上位者 |
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六段→七段 | 1人 | 五段→六段 | 2人 | 四段→五段 | 2人 | 三段→四段 | 2人 | 二段→三段 | 2人 | 初段→二段 | 2人 | (2)で昇段した者は(3)の対象外。
(注)新昇段制度以前の勝ち星の取り扱い 新昇段制度以前の勝ち星は、90%までしか昇段勝ち数として評価しない。例えば初段が過去35勝を上げていている場合、100%評価すれば35勝なので二段昇段条件の30勝を超え二段昇段となるが、90%評価なので27勝と評価され二段昇段条件の30勝に3勝不足する。
分かりずらい「勝ち星による昇段」について、例を挙げてもう少し詳しく説明しよう。15.0歳で入段した棋士が、新昇段規定のもとで毎年20勝すると、つぎのように昇段する。
15.0歳で入段 16.5歳で二段(初段→二段:30勝、通算30勝) 18.5歳で三段(二段→三段:40勝、通算70勝) 21.0歳で四段(三段→四段:50勝、通算120勝) 24.5歳で五段(四段→五段:70勝、通算190勝) 29.0歳で六段(五段→六段:90勝、通算280勝) 35.0歳で七段(六段→七段:120勝、通算400勝) 42.5歳で八段(七段→八段:150勝、通算550勝) 52.5歳で九段(八段→九段:200勝、通算750勝)
タイトルを取らなくても、年間20勝以上すれば52.5歳で九段に上り詰めることができるということだが、毎年コンスタント20勝以上するのは至難の技。本例のような成績を収める棋士は大変優秀な棋士といえそうです。現在でも年間20勝以上している棋士は、勝ち星ランキング上位20人ぐらいです。
新昇段制度の導入により、「強い人は早く昇段し、そうでない人は遅くなる」(工藤紀夫渉外担当理事)というのも納得です。大手合(旧制度)の恩恵で、30代にして九段になった棋士のほとんどは、新昇段規定では六、七段がいいところということになるでしょう。
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